少女漫画の方舟 1970年代

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エースをねらえ! モモザ館でつかまえて つらいぜ!ボクちゃん われらはみだしっ子 スケバン刑事 はいからさんが通る キャンディ・キャンディ 星くず 王家の紋章 フランス窓便り 生徒諸君! エロイカより愛をこめて 砂の城 愛のアランフェス 花ぶらんこゆれて… パタリロ! 希林館通り 伊賀野カバ丸 源氏物語あさきゆめみし


作品名 作者 出版社 巻数 初版 初出年月 初出掲載誌
エースをねらえ! 山本鈴美香 集英社 全18巻 1973.9.20 '73.1 週刊マーガレット
ミモザ館でつかまえて 大島弓子 朝日ソノラマ 短編集全1巻 1975.1.25 '73.3 週刊マーガレット
つらいぜ!ボクちゃん 高橋亮子 小学館 全6巻 1979.6.30 '74.9 週刊少女コミック
われらはみだしっ子 三原順 白泉社 全13巻 1976.2.20 '75 花とゆめ
スケバン刑事 和田慎二 白泉社 全22巻 1976.4.20 '75 花とゆめ
はいからさんが通る 大和和紀 講談社 全8巻+番外1 1975.9.15 '75.2 週刊少女フレンド
キャンディ・キャンディ いがらしゆみこ 講談社 全9巻 1975.10.5 '75.4 なかよし
星くず 大谷博子 集英社 シリーズ9巻+最新1 1976.8.20 '75.12 別冊マーガレット
王家の紋章 細川智栄子 秋田書店 41巻続 1977.2.25 '76 プリンセス
フランス窓便り 田渕由美子 集英社 短編集全1巻 1978.7.10 '76.6 りぼん
生徒諸君! 庄司陽子 講談社 全24巻+1 1978.2.15 '77.4 週刊少女フレンド
エロイカより愛をこめて 青池保子 秋田書店 24巻続 1978.10.10 '77 別冊ビバプリンセス
砂の城 一条ゆかり 集英社 全8巻 1979.4.10 '77.7 りぼん
愛のアランフェス 槙村さとる 集英社 全7巻 1979.6.30 '78.1 別冊マーガレット
花ぶらんこゆれて… 太刀掛秀子 集英社 全4巻 1980.3.20 '78.6 りぼん
パタリロ! 魔夜峰央 白泉社 69巻続 1979.11.20 '78.12 花とゆめ
希林館通り 塩森恵子 集英社 全8巻 1987.5.20 '79.2 週刊マーガレット
伊賀野カバ丸 亜月裕 集英社 全12巻+外伝2巻 1980.8.30 '79.8 別冊マーガレット
源氏物語あさきゆめみし 大和和紀 講談社 全13巻 1980.11.15 '79.12 ミミ





エースをねらえ/山本鈴美香 集英社 全18巻 ★★★★☆
岡ひろみはテニス王国・西高のテニス部1年生。テニスの女王・お蝶夫人に憧れて入部しただけなのに、新任の宗像コーチが地区大会団体戦の5人目のメンバーに抜擢してしまった。チームメートからの冷たい視線に耐え兼ねて、メンバーから外してもらうようにコーチに頼むが宗像コーチはがんとして聞き入れてはくれない。そしていよいよ試合当日。1回戦のひろみはなすすべもなく、最後は足をケイレンさせて試合を棄権する。次の準決勝では辛くも勝利するが、そんなひろみのプレーに興味をしめした人物がいた。決勝の対戦相手、加賀高校のお蘭だった。

TVアニメ化され当時の少女たちの熱い視線をくぎづけにしたほどの超人気スポコン漫画。今でもこの作品に熱い思いを抱いている人は少なくないはず。サインはV、アタックNo.1と並ぶ女性スポコン漫画の決定版。それにしても高校2年生であだ名がお蝶夫人というのには笑っちゃいますけど。




ミモザ館でつかまえて/大島弓子 朝日ソノラマ 短編集1巻 ★★★★☆
ミモザ館の下宿人募集の貼り紙を見て応募した薗部春子は驚いた。ミモザ館の主は、一人の若い男性だった。彼は自分の名前も告げず、彼女の名前を詮索しようとせずに、彼女を下宿人として住まわせる事にした。部屋代はたったの1万円で設備は何でも使用自由。ただし、毎日の夕食の世話をする事が条件だった。新任教師の園部は翌日、学校へ初出勤して自分の目を疑った。ミモザ館の当主はなんと自分の担当クラスの生徒だった。やがて教師と生徒の不思議な同居生活が始まる。他「花!花!ピーピー草…花!」「キララ星人応答せよ」など短編5編が収録。

大島弓子の乙女チック少女漫画は、不思議な魅力を持った作品である。何か心の中に漠然と広がるつたのように読み手の感情を包み込み、それでいて繊細で鋭敏な刺激を与え感動させる。彼女の作品にはどれも何故かそんな不思議な魔法がかけられているようだ。



つらいぜ!ボクちゃん/高橋亮子 小学館 全6巻 ★★★★☆
田島望は元気はつらつでさわやかな女の子。そして本人は自分の事をボクちゃんと呼び、ほとんど女の子である事を意識していないような女の子だった。ある日学校で出会った小野寺渡という1年生の男の子から恋の告白をされるけど、自分には片思いの人がいると断ってしまう。そんな彼女の片思いの人とは学校の担任で演劇部の顧問でもある辻先生だった。そして渡の勇気を見習って先生に恋の告白を決心するが、いま一歩のところで言葉にできない。そんなある日文化祭の演劇で怪我をした主役の男子生徒に代わって、辻先生はボクちゃんを主役に抜擢する。

爽快で暖かみのあるタッチで贈る高橋亮子のさわやか学園コミック。竹を割ったような溌剌とした性格のボクちゃんの見せるポーズの中にあるほんとは女の子の思いや悩みを実はしっかりと見ていてくれていた先生との心暖まる感動の名作です。



われらはみだしっ子/三原順 白泉社 全13巻 ★★★★☆
親から邪魔者扱いされ家出した4人の少年、グレアム、アンジー、サーニン、マックス。彼らは偶然知り合うようになり4人の奇妙な逃避行が始まる。4人を暖かく迎え入れてくれる人もいれば、冷たくあしらう人間もいる。そこには常に、人の心の醜さ、弱さ、歪み、そして強さやしなやかさが一辺に同居している。それでも4人は強くたくましく生きていく。時にはケンカもしたりするが、それでも心を通じ合い、心のよりどころを探して旅にでる。だがある事件がきっかけで4人はとうとう離ればなれになる運命に。

連載当時、かなり人気を博したと言われる三原順の異色の傑作。ともすれば薄幸な少年たちを暖かく見守る大人たちとの感動の物語のような雰囲気を思わせるが、実はそうではない。とにかく人間の醜い心をすべてさらけ出したような展開続きで当時の読者(少女達)がどういう感覚で読んでいたかいささか不思議である。



スケバン刑事(デカ)/和田慎二 白泉社 22巻 ★★★★☆
雨宮サキは地獄城と呼ばれていた脱獄不可能な第二高等少年院に入っていた。だがある日、7年前に姫ケ窪高校で起きた1億円盗難事件の解決を依頼される。成功の報酬はサキの母の死刑執行を中止してやるというものだった。サキは仲間の院生たちの協力でこの地獄城を見事脱獄して、姫ケ窪高校に単身乗りこんだ。サキは先ず得意のヨーヨーで番長たちを自分に従えさせ、謎の男神恭一郎の手助けもあって、なんとか無事に事件を解決する。だが母の死刑執行は免れたものの、このまま投獄を続けると確実に死が待っていると神恭一郎に言われ、その母を助ける為にサキはスケバン刑事となる事を決意する。

ドラマ化され、またそのタイトルからAVなどのジョークネタにもなった和田慎二の異色の話題作。スケバン(女番長)が刑事というのは当時でなくてもきわめて斬新な設定で少女漫画に限らずすべての漫画史においても異彩を放っている。



はいからさんが通る/大和和紀 講談社 全8巻+番外1 ★★★★☆
時は大正浪漫の華咲く大正7年。陸軍少佐の一人娘、花村紅緒は17歳。ハーフブーツにえび茶のはかまで自転車も乗りこなす、当時はやりのハイカラ娘。しかも、これが竹刀をとったら天下無敵のジャジャ馬娘ときた。そんな彼女に突然、伊集院少尉なる婚約者が現れる。お互いの祖父母の代からの約束だったとか。花嫁修行を兼ねて出向いた先の伊集院家では、紅緒のジャジャ馬ぶりに大波乱。そんな紅緒にもいつしか伊集院少尉にほんのり恋心が。

大和和紀が贈る大正浪漫を舞台にしたラブコメの決定版。少女漫画でありながら、そのタイトルの奇抜さと印象度で男性ファンも多くいた恐らく最初の漫画ではないだろうか。小気味いいテンポとストーリー展開は、のちのラブコメ少女漫画に大きな影響を与えた事は言うまでもない。



キャンディ・キャンディ/いがらしゆみこ 講談社 全9巻 ★★★★☆
キャンディ(キャンディス=ホワイト)は孤児。明るく元気に育ったキャンディは、12歳になったある日、スコットランド系の名家ラガン家の娘イライザの話相手として引き取られて行く。意地の悪いイライザとその兄ニールの幾多の仕打ちにもめげず強くたくましく育つキャンディ。昔、孤児院のそばの森で見かけたスコットランドの民族衣装をまとった素敵な王子様へのあこがれを胸に、キャンディはどんなむごい意地悪にも絶えながら明るく生きていく。

TVアニメにもなった不朽の名作。涙なくしては語れないエピソードの数々。いわゆる感動物少女漫画のルーツ的存在という事だろうか。原作は水木杏子。お子様向け少女漫画とバカに出来ない深い感動がそこにある。ぜひご一読を。



星くず〜由似へ/大谷博子 集英社 シリーズ9巻+最新刊1 ★★★★☆
高校生の杉浦由布子は、難病に苦しみながらも前向きで明るく生きようとする宏司の姿に感動する。「今を生きる」−−−宏司の言葉が由布子の生き方を変えた。しかし病魔はついに宏司を帰らぬ人へ。恋人の死をきっかけに自分の人生感をも変えてしまった由布子がいろんな人と出会い、やがて自らも死の恐怖に直面する事に...

自分自身に、そして自分のまわりの人たちに次から次へと不幸が訪れても明るく人生を踏みしめて生きる由布子。そんな主人公のひたむきな姿に感動を覚える。以降『星ははるかなり』『星よきらめけ 上下巻』『由似へ…全2巻』『由似、きみの青春全3巻』とシリーズが続き、今年(2000.2.23)になって最新続刊『由似、風のなかで』がYOUコミックスより発売された。由似シリーズでの明るくかわいい由似の絵が印象的。



王家の紋章/細川智栄子 秋田書店社 41巻続 ★★★★☆
エジプトで考古学を学ぶキャロルはブラウン教授のもとで新しく発見された王の墓の発掘に立ち会う。しかしこの発掘がもとで、王の眠りを妨げた人間を殺す為にその姉アイシスが復活した。しかし彼女は同時に発掘された呪術の粘土板の力により、過去に押し戻される事になる。だがその時アイシスはキャロルを道連れにして消えてしまった。神秘な力で3000年の時を超えて古代エジプトにたどり着いたキャロルはエジプトの民から『神の娘』とあがめられるようになる。

初出後、今なお続く、長編大河ミステリーロマン。3000年の時を越えて現代と古代エジプトの二つを舞台に壮大な物語が続く。次から次へとキャロルに訪れる逃亡劇は、この物語の圧巻なのかもしれないが、それにしても長い。まあじれったい人には向かないかもね。



フランス窓便り/田渕由美子 集英社 全1巻 ★★★★☆
白いペンキ塗りのフランス窓のある小さな家に一緒に住む三人の少女 杏、苗子、詮子。子供っぽい杏、気の強い苗子、美人でもの静かな詮子。性格の異なる3人の少女がこの小さな家を舞台に繰り広げる3様の恋の物語。他には「雪やこんこん」「マルメロ・ジャムをひとすくい」など全7作品が収録。

「フランス窓便り」は三人の少女の恋物語を3部構成で書き上げたもので、少女漫画黄金時代(昭和53年頃)を陸奥A子、太刀掛秀子とともに乙女ちっく路線で活躍した田渕由美子の代表作。乙女チック少女コミックのルーツとも言うべき作品。全作品は1話完結の読みきり形式の所為か、古書店にもあまり置いてあるところは少ないが、一部の作品は文庫化されている。連続ストーリー恋愛ものの作品がないのが唯一惜しまれる。現在、作者は主にレディースコミックYOUで活躍中。



生徒諸君!/庄司陽子 講談社 全24巻+別巻1 ★★★★☆
聖美第四中学の二年A組に転校生がやってきた。彼女の名は北城尚子、通称ナッキー。彼女が転校してきた事でクラスではハプニングの連続。クラスメートを初め、全校生徒、はては教師や校長先生をも巻き込んでナッキーの旋風が吹き渡る。元気でおてんばでスポーツ万能なナッキー。だけど彼女には、クラブ活動を自由にやれない特異な秘密があった。それでも彼女の能力に目をつけたソフトボール部のキャプテンは、ナッキーにレギュラーのテストを受けるように挑戦してきた。

小泉今日子の主演で映画にもなった庄司陽子の痛快青春コミック。明るく元気に生きるナッキーの姿、他人をいつのまにか引き込む彼女の底しれない魅力。そのすべてが読み手に爽快感をもたらしてくれる。そんな破天荒なナッキーの見せる優しさの一面ではきっとあなたを感動の渦に巻き込まずにはいないでしょう。



エロイカより愛をこめて/青池保子 秋田書店 24巻続 ★★★★★
ギリシャ神話のアポロのような美貌で美術品愛好家のグローリア伯爵。実はエロイカと名のる美術窃盗団のボスであり、同時に男色家でもある。一方、レオパルド戦車のごとく冷徹なエーベルバッハ少佐は「鉄のクラウス」という異名を持つ。その好対照な二人は事ある毎に何かと顔を合わせる。少佐の部下が機密書類を隠した彫像を、伯爵が盗み出しそれを船で輸送中にシージャックに遭遇してしまう。敬遠の仲ながら利害の一致した二人は協力してシージャックを阻止しようとするが...

冷戦時代のヨーロッパを背景に、伯爵と少佐が巻き起こす奇想天外、ドタバタアクションコミック。馬面、美形、男色家というと男性読者には敬遠しがちな内容にも関わらず、これが結構面白い。ギャグも洒落ていてそういった違和感など微塵も感じさせないところが実にいい。



砂の城/一条ゆかり 集英社 全8巻 ★★★★☆
ローム家に可愛い少女ナタリーが生まれた。同じ日、家の前で拾われた孤児フランシスと共に、二人は恋人のように健やかに育っていった。そんなある日、両親が乗った飛行機が墜落し取り残された二人は結婚を決意し駆け落ちするが、追い詰められ足を滑らせて崖から転落してしまう。辛くも一人だけ生き残ったナタリーは、哀しみを立ち切る為、一人暮らしを始めるが、ある日、フランシスが生きている事を知って会いに行く。だがそこには、生活を共にする彼の妻と一人の子供マルコがいた。やがて不幸な事故が元で両親を亡くしたマルコをナタリーが引き取る事に。

一条ゆかりの初期の最高傑作。最愛の人フランシスが残していったマルコへの愛情とフランシスを奪っていったマルコの母への憎しみという二つの相反する感情を秘めたナタリーとその彼女を慕うマルコとの葛藤と愛と感動に溢れる物語がこの作品の見物。とにかく一条ゆかりという人は読者を思わず引き込む技を持っている。



愛のアランフェス/槙村さとる 集英社 全3巻 ★★★★☆
日ソ国際スケートのエキシビジョン会場に突然現れて華麗な演技を披露した無名の新人、森山亜季実。一方、再起不能と噂されていた黒川が友人筒美の招待で偶然彼女の演技を見る。名も告げずに去った亜季実に協会関係者のあいだでも必死の捜索が開始されるが、ある日、黒川と筒美は彼女が釧路の高校から東京の学校へ転校している事を知りクラブへ誘う。やがて協会側は彼女を次の強化選手にしようとしたが、彼女は選手資格であるスケートの級を保持していなかった。

スケートリンクを舞台に繰り広げられる愛と感動の名作。槙村さとるの初期の最高傑作。まだ幼かった僕には連載当時のこの微妙なストーリー展開には中々馴染めなかったけれど、今こうして読み返すとよい作品である事がまざまざと伝わってくる。



花ぶらんこゆれて…/太刀掛秀子 集英社 全4巻 ★★★★☆
フランス人の母・ソニアの面影を宿す金髪とるり色の瞳を持って生まれた少女るり。 父の再婚相手の新しい母も最初はるりに対して優しかったが、妹・唯が生まれ、るりの運命は大きく変わってしまう。病弱な唯を思うあまり、そしてソニアの面影が目に付くあまり義母の仕打ちが次第に激しくなっていく。新しい母親の仕打ちに耐えながらも優しい兄に見守られ、るりは、澄みきった心を持ち続けてゆく…

シリアスタッチと丁寧な画風のこの作品は連載当時は多少敬遠ぎみの感があったがそれは単に絵柄とストーリー進行が田渕由美子のそれとは正反対だったからに過ぎない。改めて読みなおすとこれもまた純粋に乙女ちっく少女コミックである。太刀掛秀子の代表作だけあって、これも古書店での扱いはほとんどないが、文庫コミックで読む事ができる。



パタリロ!/魔夜峰央 白泉社 70巻続 ★★★★☆
国王の急死により、若くしてマリネラ王国の国王に就任したパタリロ・ド・マリネールは、若干十ン歳の少年だが、肥満・糖尿病・高血圧の持病持ち。マリネラ王国は、その唯一の特産品ダイヤモンドで経済は潤っているが、国際シンジケートを敵に回した為、パタリロの命が度々狙われるようになった。そこで訪英時に警備を担当したMI6のバンコラン少佐を警備として迎え入れた。美少年キラーとして異名をとるが彼の腕前は超一級である。そしてついにシンジケートを壊滅に追い込むことに成功したが、それからもパタリロは何かと少佐にまとわりつくようになる。

連載開始から20年以上も続く魔夜峰央の長寿コミック。痛快なギャグの連続で、かつてアニメ化された当時は、そのキャラクターの特異性でかなり話題になった作品でもある。面白い事に、初出時は5頭身だったパタリロが次第に3頭身に変わっていくのはご愛嬌だろうか。最近文庫でも再発売されている。



希林館通り/塩森恵子 集英社 全8巻 ★★★★☆
学生相手の下宿屋希林館を営む母を手伝う林 花梨は、ある日、憧れの社会科教師の糸崎先生にプロポーズされる。2年間の思いが実ったものの先生から「結婚」と言われると、意外にも動揺する花梨。一方、その糸崎先生の紹介で希林館にやってきた大学生の高広はぶっきらぼうで、いつも花梨とケンカしてばっかりいた。そんな時、花梨の悩みを知った高広は、心配のあまり花梨のあとをつけていくが、ひょんな事からケンカに巻きこまれ入院する事に。しかし、見舞いに行った病室で高広を看病する花梨の妹柚子の姿を見て、花梨は何故かショックを受ける。

プロポーズを受けた憧れの糸崎先生とケンカが絶えなかったのにいつしか心ひかれるようになった高広との微妙な三角関係を描いた異色のラブロマンス。林家の3姉妹と希林館の下宿人たちとが織り成す青春ラブストーリーでもある。



伊賀野カバ丸/亜月裕 集英社 全12巻+外伝2巻 ★★★★★
人里離れた山奥で才蔵じいちゃんの厳しい修行を受けていた伊賀野カバ丸(影丸)はじいちゃんの死後、才蔵の昔の恋人大久保蘭に引き取られ東京での生活が始まる。カバ丸は蘭ばあちゃんの孫娘の麻衣を一目で好きになり、何かとちょっかい出すが、当の麻衣にとっては学院のアイドル静寝さまに比べ大食、野蛮、不潔と3拍子揃ったカバ丸が気に入らない。そんなある日、カバ丸は弁当にまつわる一件で番長格の白川を助けたと(実は勘違い)され一躍学院の人気者に。

ハチャメチャで大食らいのカバ丸が巻き起こす痛快学園コメディー。世間の常識を知らないカバ丸が勘違いで行動しても、それがいつのまにか回りの人間に好印象を与える結果となってしまう思い違いギャグが全篇にわたって登場し、これがこの作品のモチーフになっている。とにかく荒唐無稽に面白い作品である。文庫版でも出ているがこちらは完結していないので、ぜひとも単行本で読んで欲しい。



源氏物語あさきゆめみし/大和和紀 講談社 全13巻 ★★★★☆
帝と桐壺の更衣とのあいだに生まれた男の子は、幼くして母と死別した。だが彼は帝の寵愛を一身に受け、人もうらやむばかりの美少年に成長する。のちに臣籍に下って源氏性を名乗った彼は、その美貌によりまわりの人から光源氏と称されるようになった。光は亡き母に似た藤壺女御を初恋の人と慕い、やがて罪の子冷泉帝をもうけるが、一方、藤壺に似た紫上を幼女に受け、正妻葵上の死後、彼女と結婚する事になる。

日本を代表する古典恋愛物語の最高峰「源氏物語」を大和和紀の華麗なタッチで贈る意欲作。名作「源氏物語」を漫画で読みたいという人にはうってつけの作品でもある。しかし、女性の顔の違いが微妙すぎて序盤は難読するかもしれないが、それを通り越せば充分読み応えのある作品に仕上がっている。