「夏本番」

	雨の季節が終わって  
	ここぞとばかりに威勢のいい太陽が顔を出す
	灰色から彩色へ二度目の変化が訪れる
	ここから人の夏が始まる

	強い光が世界を包む
	つい最近まで空を支配していた灰色の雲はもうなく
	いまでは白くくすんだ青い空が見える
	綿飴のような雲が空を飾っている

	もはや蛙の唄は聞こえず
	今でははかないセミたちの雄叫びが聞こえてくる
	そのうち他のセミたちとの合唱が始まるだろう	
	そしてその唄は秋の鳴虫に引き継がれる

	強い照り返しを受けて歩く
	夏の太陽はいっそう熱く世界を照らす
	日陰と涼しい風にほっとする
	もう夏は本番である

				ふとなんとなく		H7.Aug.5.

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