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 機体形状の作図とは図2-1, 2-2, 2-3に示すような三面図(側面図、正面図、平面図)を画くことであり、これに胴体主要部分の断面図を画けば、機体の三次元形状を表すことができる。一度このような三次元形状が画かれると、風洞模型の製作およびCADを利用しない図面からはデジタイザーの支援によるCFD(計算流体力学)用格子形成により機体の空力性能を実験値および計算値として得ることができる。CADまたはデジタイザーの支援による三次元数値形状は機体各部の表面積、機体内部各区画の容積を計算できる。機体各部の表面積は機体の空虚重量の概略値、機体内部各区画の容積は機体搭載に関係する機器・乗員数・燃料・有償荷重・等の概略重量計算に利用できるだけでなく、機体の姿勢制御に関係する機体各軸まわりの慣性モーメントおよび重心位置の計算にも利用できる。このような数値化された三次元機体形状を数値機体と呼ぶことにするならば、通常型の航空機設計においては、このような数値機体は各種の既存航空機群のデータベースより、その飛行特性(離陸、上昇、巡航、着陸)を容易に推定することができる。
 
 もしも
数値機体に準じるエンジン(数値エンジンと呼ぶことにする)がモデル化できるならば、数値エンジンを搭載する数値機体の飛行を計算機上で飛行シミュレーションを行うことができ、離陸、上昇、巡航、旋回、下降、着陸飛行を全て計算機上で行うことができる。なお、数値エンジンを搭載する数値機体が機体およびエンジン形状を定義する基本寸法で無次元化されているならば、これらの主要パラメーターを飛行シミュレーション毎に変えることにより、容易に機体設計をミッションに適合するように設計変更を行うことができる。著者のURL [English Version] には著者が開発した数値エンジン化したARCCエンジンを搭載する数値機体である単段宇宙輸送機ARCCSPの設計と飛行性能に関する概略を示す。この数値機体の各飛行モードにおける任意方向からの観測状態を図3-1, 3-2, 3-3に示す。

 エアーブリージング・エンジンを搭載する単段宇宙輸送機の現状は機体もエンジンも構想段階でしか存在しない。機体およびエンジンの部分的な研究成果が得られても、宇宙輸送システムとしての性能および信頼性・安全性を評価する方法論すら確立していないのが現状である。それらの幾つかを組み合わせた実験機構想等が世界の主流であるが、実験機開発そのものが巨額な費用を必要とする上に,そにような実験機を評価する方法論は存在しない。本ホームページに紹介する
数値エンジンを搭載する数値機体と計算機上の飛行シミュレーションは新しい飛行機体の設計方法を提供するに留まらず新しい評価手段を提供する。その評価手段はシステム全体の総合評価に加えて、各サブシステムの性能評価を行うことができる。すなわち、各サブシステムの性能を評価することにより、各サブシステムの改善目標をも設定することができる。

蒼形から蒼造へ(飛行機体の設計プログラム)

図2-1 ARCCSP 側面図

図2-3 ARCCSP平面図

図2-2 ARCCSP正面図

図3-2 脚上げ飛行 その1

図3-1 離陸飛行

図3-3 脚上げ飛行 その2